学問の神様 十雷神となり 二

 六月になると雨の日が多くなった。
 それも地面に突き刺さるような激しい雨だった。
 鴨川はあちらこちらで怒濤のごとく氾濫し、家や田畑は水没、家々は船のごとく流され、人々も悲鳴を上げて溺れ流されていった。
 雨がやみ、水が引くと、多くの死体が場所かまわずに横たわっていた。
 人々が残骸の後片付けを行っているさなかの九月。
 秋には、凄まじい突風が、都を蹂躙し、人々や家屋そして、田畑にまた多くの被害をもたらした。
「姉上、町ではこの大雨はまた父上の祟りだと噂されています」
「そのようですね」
「これじゃ、父上がますます悪者になってしまいます」
「長寿麿、な