西日にコスモス揺れて一片の詩が



 いなづまの青くはためく詩の雌伏  上田五千石

 かなぶんや昨日の詩の早や古ぶ  野見山ひふみ

 コスモスや子がくちずさむ中也の詩  大島民郎

 この熱風走る詩としてゴビを行く  加藤知世子

 こほろぎの鳴きつぐごとく綴る詩か  木下夕爾

 西日にコスモス揺れて一片の詩が  アロマ

 しんしんと雪詩の中へ迷ひこむ  石松フミ子

 すみれ咲く海軍壕の辞世の詩  野原すが子

 われ生きて詩を作らむ  種田山頭火 草木塔

 愛の詩色なき風にのせてやり  宮崎貴子

 緩やかに風吹き詩情募りゆく  アロマ

 愛蔵す東籬の詩あり菊枕  杉田