かき揚のからりと揚がり夏隣 岸田稚魚
つぎくるゝ茶のすぐ冷えて夏近し 久保田万太郎
とろろ蕎麦味覚爽やか夏となり アロマ
夏近き雨が降るなり土管口 菖蒲あや 路 地
夏近き吊手拭のそよぎかな 内藤鳴雪
夏近し夢の切れ目が生き活きと 河野南畦
夏近し家を囲める幹の影 片山由美子 水精
夏隣妻の廚に日のなごり 木津柳芽 白鷺抄
縁側の日差し和やか夏近し アロマ
山の子の声みどりなる夏隣 小坂優美子
甲州や悉く夏近き山 古屋夢拙
分校の子ら走り回って夏隣 アロマ
草冷えの手足づたひ