温泉語物No.1591 「10号の夜」(簡単)

 二十年以上前の話になる。教会の仲良し仲間たちと格安バス・ツアーを利用して、万座温泉に行った。万座温泉と言えば、スキー場でも有名なくらいだから、高原にある温泉だ。たぶん、気圧も平地に比べると少し低いに違いない。

 そんな気圧の変化に敏感な人だったのか、あるいは温泉の硫黄臭を嗅いだせいなのか、同行したおばちゃんの一人が現地到着直後に「気持ちが悪い」と言い出した。それも我慢ができないくらい気持ち悪いのだとか。慌てた我々は、ホテルの人と相談して、平地の町にある医院にタクシーで送り届け、一晩、入院してもらうことにした。

 このひと騒動がなんとか落ち着き、やっ