36、歌集「天翔ける夢」(赤坂澄子著)は充実の自分史なり

歌集「天翔ける夢」 赤坂澄子著 水煙短歌会
平成12年4月1日発行
ー夢さめて手さぐりに書く短歌幾首天翔けて見る故里の庭

炎天の畑に30年のデラを伐る李巨峰に替ふる5反歩

いただきて何やら侘し65歳吾に届きし老人医療手帳

去年の実に混じりて青き円ら実の夏蜜柑匂ふ故里の庭

飲まぬ夫が酔ひたるさまに歌ひをり甲州盆唄はらからの宴に

姉よりも其の姉よりも節高く農婦となりて40年吾が掌

夫は今日何に心の浮き立つや剪定しつつ口笛を吹く

房総の友の作りし蓬餅宅急便に届く雛の節句

米に花に蜜柑栽りて古里の農する友の腰屈まれり

1か月余を吾が臥しをれば老