キーホルダーに小さき電灯が



 酒倉のはだか電燈松も過ぎ  星野立子

 新緑に電燈点きし音はせず  山口誓子

 草いきれの窯場ひねりてつく電燈 (福原達朗氏窯) 細見綾子

 月の辺に電燈つけり爽かに  長谷川かな女 雨 月

 まつさをな空地にともりたる電燈  渡邊白泉

 卓袱台と秋刀魚と低き電灯と  久野哲男

 電灯は皿に眩しく照り返す  アロマ

 居留地の電燈に散る柳哉  寺田寅彦

 電灯を点け盆梅の数ふやす  鷹羽狩行

 電燈の昼もとぼりてきりぎりす  山口誓子

 簗番に裸電燈ぶらさがる  青波

 電灯始末の 古町の店 夕木槿  伊丹三樹彦

 今の懐中