「卓袱台」の日記一覧

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艶姿明石縮を着こなして

 明日はパリーと単衣の奏づバイオリン  中山皓雪  母の単衣直してもらひ更衣  瀧春一  振返る媼の単衣美しき  中村しげ  観劇や母の単衣のなじみゐて  青木政江  艶姿明石縮を着こなして  アロマ  卓袱台に昭和の父母や単衣着て  瀬戸悠  単衣着て髪の中まで風ぬける  海輪久子  夏の宵「明石ちぢみ」は蝉の翅  アロマ  母の持つ明石縮は茜色 アロマ  明…

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「ことばの道草」-Ⅲ 覚書

〇、卓袱台…中国では、食卓の上に敷いた敷物を「ちゃぶ」と言った。転じて、「卓袱屋」と言う小料理屋もできた。長崎辺りでは、卓袱(しっぽく)と言う和風料理をさす。 〇、長丁場…宿場から宿場までを丁場といった。宿場間の長いのを、「長丁場」という。 〇、千秋楽…法会の最後に雅楽「千秋楽」を奏したから。最終日の興行をさすようになった。 〇、二枚目半…二枚目は、若い色男、三枚目は、道化役、両方兼ね…

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キーホルダーに小さき電灯が

 酒倉のはだか電燈松も過ぎ  星野立子  新緑に電燈点きし音はせず  山口誓子  草いきれの窯場ひねりてつく電燈 (福原達朗氏窯) 細見綾子  月の辺に電燈つけり爽かに  長谷川かな女 雨 月  まつさをな空地にともりたる電燈  渡邊白泉  卓袱台と秋刀魚と低き電灯と  久野哲男  電灯は皿に眩しく照り返す  アロマ  居留地の電燈に散る柳哉  寺田寅彦  電灯を点け盆梅の数…

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秋刀魚焼く細長き器誂えて

 ことしまた秋刀魚を焼いてゐたりけり  今井杏太郎  しみじみと秋刀魚は無事の味すなり  水野吐紫  しんがりは間をあけもどる秋刀魚船  遠藤照子  はてしなき夫婦の枷の秋刀魚焼く  小林康治 四季貧窮  ひとり焼く秋刀魚はげしきけむりあぐ  片山桃史 北方兵團  ひとり祝ぐことなり秋刀魚一尾買ふ  殿村莵絲子 花寂び 以後  ほろほろとにがき脂まで秋刀魚食ふ  石塚友二  ぼろろ…

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「思い出 III」、「倅に III」 柴田トヨの詩

 「思い出 III」            柴田トヨ 詩 路地を曲がった 五軒長屋の まんなかの家に 父母と連れあいと 一人息子の健一 それに私 五人で暮らしていたの 風呂もテレビもなく 棚の上のラジオから 「君の名は」を聞くのが 楽しみだった 卓袱台を囲んでの夕食 笑いが絶えない家庭 あれから 六十年 今は一人の生活 でも 私には 思い出がある  「倅に III」     …