ゴロゴロと春雷鳴って雹が降る



 春の雷巨いなる石蹲る  橋閒石

 春の雷一度に柿の芽の匂ふ  長谷川かな女 雨 月

 春の雷空に酸味のほとばしり  正木ゆう子

 春の雷古書のほつれの糊押すに  石川桂郎 四温

 春の雷消えし方より返し来る  馬場移公子

 春の雷大阪の灯を昏くせり  松村富雄

 春雷に一瞬目覚夢うつつ  太田富美子

 春雷に応ふべくして身をかたく  行方克巳

 春雷し美しき少女入社せり  渡邊白泉

 指栞して春雷を聞きゐたり  藤木倶子

 火柱を見し春雷の地中海  森田峠 逆瀬川以後

 冠雪の羅臼岳ゆさぶる春の雷  鈴木夢亭

 奇蹟待ちつゝ