42、「朝が来る」(辻村深月著)は複雑な現代描く

「朝が来る」 辻村深月著 文春文庫
2018年9月10日発行
ー佐都子。
 息子はもう小学一年生。 朝斗。栗原家の朝。
 41歳の時に、朝斗を授かり。
 建設会社で働く同じ年の夫、清和。
 その瞬間、思った。
 恋に落ちるように、と聞いた。佐都子ははっきりと思った。
 朝が来た、と。
 永遠に明けないと思っていた夜が、今、明けた。
 この子はうちに、朝を運んできた。
 清和と二人して、腕の中の赤ちゃんから顔を上げ、浅見を見る。
 こうやって栗原さんたちに病院にまで来てもらった。
 おそらく中学生くらいだ。佐都子の子どもであってもおかしくない年齢だ。
 妹