「辻村深月」の日記一覧

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星を捉える若者達

 辻村深月の「この夏の星を見る」を読了した。著者はメフィスト賞出身のミステリー作家で、2012年に第147回直木賞を受賞しているが、最近はミステリー以外の分野の作品も増えている。本書は、コロナ禍で投稿やクラブ活動が制限される中で、インターネットを利用して全国に仲間の輪を広げて行く中高生達の姿を描いた青春群像劇である。  本書の主要な視点人物は、茨城県立砂浦第三高校二年生の渓本亜紗、東京都渋谷区…

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辻村深月のガイドブック

 辻村深月の「Another side of 辻村深月」を読了した。著者はメフィスト賞出身のミステリー作家で、2012年に第147回直木賞を受賞しているが、最近はミステリー以外の分野の作品も増えている。本書は、著者のファン向けのガイドブックである。  本書は基本的には資料集の性格を持っているが、他の作家との対談が多数収録されている。その中で、特別対談と銘打たれた宮部みゆき、伊坂幸太郎との対談が…

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積み上げられた嘘

 辻村深月の「嘘つきジェンガ」を読了した。著者はメフィスト賞出身のミステリー作家で、2012年に第147回直木賞を受賞しているが、最近はミステリー以外の分野の作品も増えている。本書は、詐欺をモティーフとした三篇を収録した中篇集である。  「2020年のロマンス詐欺」:本篇の主人公は、2020年に大学に入学するために山形から上京した加賀耀太である。折角大学に進学した耀太であるが、大学はコロナ禍の…

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伝説を築いたアニメ

 辻村深月の「レジェンドアニメ!」を読了した。著者はメフィスト賞出身のミステリー作家で、2012年に第147回直木賞を受賞しているが、最近はミステリー以外の分野の作品も増えている。本書もミステリーではなく、2014年に刊行されたアニメ業界を描いたお仕事小説「ハケンアニメ!」のスピンオフ作品集である。なお、本篇の「ハケン」とは「派遣」ではなく「覇権」である。  「九年前のクリスマス」:本篇で主役級…

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闇ハラスメント

 辻村深月の「闇祓」を読了した。著者は直木賞作家で、メフィスト賞出身のミステリー作家であるが、最近はミステリー以外の分野の作品も多い。本書は、周囲の人々に闇を強制する家族と、その家族と対決する高校生の姿を描いたホラー小説である。  第一章「転校生」:視点人物は、千葉県内の私立高校三峯学園二年生の原野澪。澪は子供の頃から面倒見が良く、優等生と呼ばれており、現在もクラス委員長である。その澪のクラスに…

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ミライの学校

 辻村深月の「琥珀の夏」を読了した。著者は直木賞作家で、メフィスト賞出身のミステリー作家であるが、最近はミステリー以外の分野の作品も多い。本書は、かつてカルト集団として批判された団体が使っていた敷地から発見された、少女の白骨死体の身元と死の真相を巡る、事件関係者の葛藤と愛憎を描いたミステリーである。 なお、物語は三十年前の小学生時代のノリコとミカの過去の視点、および、四十代になった弁護士の法子の…

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58、『東京會舘とわたし(下)新館』(辻村深月著)は作家になるきっかけになったクラッシックの建物が!

『東京會舘とわたし(下)新館』 辻村深月著 2019年9月10日発行 ー金環のお祝い 茂木芽衣子。勇吾。  そんな夫も、建て替えられて新しくなった東京會舘の方荷はついに行かず終いだった。膵臓癌という病気のせいもあっただろう。 「會舘がなくなるぞ」  日刊建設工業新聞。  作家の井上靖は、小説『化石』の中で東京會舘を「T会館」として登場させた。『化石』の中では、本館のロビーの柱を飾っていたコレニ…

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55、『東京會舘とわたし(上)旧館』(辻村深月著)はクラッシックの、素晴らしさ知る

『東京會舘とわたし(上)旧館』 辻村深月著 文春文庫 2019年9月10日発行 ー辻村さんが、林真理子との対談で、東京會舘で、直木賞受賞と自身の結婚式を東京會舘を利用して行い、良かったことを話していた。また、エッセイ集で、東京會舘の小説を書いたことを言っていた。それで、この本を読んだ。この(上)では、最後の洋菓子とカクテルを開発した話に感動した。仕事というものの面白さ、真剣さが伝わって来た。 …

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42、『図書室で暮らしたい』(辻村深月著)は「作家になり、憧れていたフィクションの向こう側に来た今だからわかることがある。作品は読者を絶対に裏切らない、そんな小説を、送り出していきたい、と

『図書室で暮らしたい』 辻村深月著 講談社文庫 2020年10月15日発行 ー最近、自分より若い年代の作家の作品を興味を惹かれてよんでいる。辻村深月、1980年生まれ。小川糸、1973年生まれ、中山七里、1961年生まれである。小川糸さんは、今日買って来たばかりであるが、昨夜、小川さんの話をラジオ深夜便、で聴いた。 ー私は、お酒がまったく飲めない。一緒にいた妹が私から一口もらって「おもてなしって…

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27、『オーダーメイド殺人クラブ』(辻村深月著)は現代若者の心を描く

『オーダーメイド殺人クラブ』 辻村深月著 集英社 2011年5月30日発行 ーこの小説こそ、辻村深月の代表作だと僕は思う。現代の若者の心理を見事にリアルに描き出している。一度読んで、そう思ったが、もう一度読んで、若者の」心を描いていることをもっと強く感じた。 ー「ねえ、アン。お母さん、本当は少し前から注意しようと思ってたんだけど、新聞、切り抜いてどうするの?」 「アンちゃん、人が死ぬような、気持…

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著者別インデックス:国内(辻村深月)

1.冷たい校舎の時は止まる (2004.06)   https://smcb.jp/diaries/7094264 2.子どもたちは夜と遊ぶ (2005.05)   https://smcb.jp/diaries/7476205 3.凍りのくじら (2005.11)   https://smcb.jp/diaries/7550148 4.ぼくのメジャースプーン (2006.04) …

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9、『ふちなしのかがみ』(辻村深月著)は、僕にはよく分からない

『ふちなしのかがみ』 辻村深月著 角川文庫 平成24年6月25日発行 ー辻村さんの小説は、以前、僕は、若い現代人の心理を見事に描いている、と感動して読んだことがあるが、この短編集は、何とも感心しない。リアルさが、僕の身に感じられないのである。最近では、『朝が来る』には感動したが。そして、他の長編小説で、高校生か、中学生かの交流する様子が、現代風に、描かれていて興味深く読んだこともある。だけど、こ…

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42、「朝が来る」(辻村深月著)は複雑な現代描く

「朝が来る」 辻村深月著 文春文庫 2018年9月10日発行 ー佐都子。  息子はもう小学一年生。 朝斗。栗原家の朝。  41歳の時に、朝斗を授かり。  建設会社で働く同じ年の夫、清和。  その瞬間、思った。  恋に落ちるように、と聞いた。佐都子ははっきりと思った。  朝が来た、と。  永遠に明けないと思っていた夜が、今、明けた。  この子はうちに、朝を運んできた。  清和と二人して、腕の中の赤…

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緑の亀の木の玩具

 辻村深月の「ツナグ-想い人の心得」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー出身であるが、最近はミステリー以外の分野の作品も多い。本書は、死者と生者のそれぞれを、希望する者に一度だけ再開させることのできる使者(ツナグと呼ぶ)を描いた、2010年10月刊行の「ツナグ」の続編である。本書は前作から7年経過したとの設定になっており、主人公の渋谷歩美は大学を卒業し、玩具などの木工品の企画:販売を行う会…

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生者と死者を繋ぐ使命

 辻村深月の「ツナグ」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー出身であるが、最近はミステリー以外の分野の作品も多い。本書は、死者と生者のそれぞれを、希望する者に一度だけ再開させることのできる使者(ツナグと呼ぶ)を描いた、ファンタジーの連作短編集である。なお本書は、2010年10月刊行(雑誌初出は2009年9月)の作品であり、2012年第32回吉川英治文学新人賞受賞作である。  ツナグの使命は生…

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かがみの孤城

読了しました。 裏オビ?(オビ裏?)に書いてある通り、一気に読んでしまいました。 いじめ、DV、ネグレクトなどで不登校になった中学生たち7人 ある日突然、それぞれの家の鏡が光り出し その向こうにある、不思議な孤城へと引き込まれます。 そこでの、生活を通して 互いに絆を深めていきます。 ネタバレになるので、これ以上は控えます。 そして 裏オビにある、「もう泣けて、泣けて・・・…

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存在しなかったストーカー

 辻村深月の「傲慢と善良」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー出身であるが、最近はミステリー以外の分野の作品も多い。本書は、突然姿を消した婚約者の過去を追う中年男性の姿を通して、現代の中年男女の間の愛情と婚活の問題点とを描いた物語である。本書は二部構成で、第一部は西澤架(かける)、第二部は板庭真実の視点で語られる。  東京に住む39歳の西澤架は、急死した父親から継いだ小さな輸入会社の社長で…

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現代のトキワ荘

 辻村深月の「スロウハイツの神様(上、下)」を読了した。著者はメフィスト賞出身の直木賞作家で、元々ミステリー出身であるが、最近はミステリー以外の分野の作品も多い。本書は著者の初期の作品で、クリエイター志望の若者達の住むスロウハイツでの人間関係を描いた群像小説である。  人気作家のチヨダ・コーキ(千代田公輝)は、彼のファンで大学三年生の園宮章吾が、集団自殺を装って集めた人間に殺人ゲームを強制し、そ…