連載:日々なんてことないこと

今朝の「天声人語」 横田めぐみさんは幼いころ、

デパートで迷子になった。館内放送で呼び出され、両親は慌てて駆けつける。めぐみさんは売り場のお姉さんにリボンを結んでもらって上機嫌だった。
「パパとママはどこで迷子になってたの?」
▲めぐみさんが新潟市内で下校中に拉致されたのは1977年。13歳だった。父の滋さんはその夜、中学校のトイレの扉を残らず開けて回る。交通事故を疑って通学路にはいつくばり、タイヤ痕を探した。
▲前日は滋さんお45歳の誕生日だった。「これからはおしゃれに気をつけてね」。めぐみさんから受け取ったのは1本のくし。身なりに無頓着な父を気遣う優しさに打たれた。以後、どこへでも持ち歩いた。