色男

色男だつた
いつも 女が群がつていた

ナルシストは言った
(このジヤンパーも買ってもらつたんだ)
年上の女からのプレゼントだつた

初デートの若い娘は、訳も分からず頷いていた

男はサンドイッチをたつた一つ買い 半分づつ娘と自分に分けた
ホテルのロビーで
パーテイ券も 無料の招待状で

娘は 驚いて
逃げ出して
そして 消えた

再び 娘の横にかつてのナルシストがいた
五年の空白は 男を紳士にした
豪華なデイナーで 娘を喜ばせた

一変した紳士を まぶしく娘は見つめた
(結婚するの?)
(ええ 近々)
娘が答えた

娘を送り届け
男は
さようなら
しあ