67、「人間は瞬間瞬間に、いのちを捨てるために生きている」(岡本太郎著)は生きざま語る

「人間は瞬間瞬間に、いのちを捨てるために生きている。」
岡本太郎著 文庫ぎんが堂 2009年6月11日発行
ー息子である私でさえ、彼女の生命の不可思議に呆然とする。実はやや、お手上げの態なのである。
 瀬戸内晴美さんは、小説の形をかりて、かの子の本体に迫る「かの子りょう乱」を書いて、評判を呼んだ。
 母は肉体的にも、精神的にも、なみ外れて傷つきやすい、絶望的な脆さをもっていた。
 傷ついて傷つかない魂こそ、かの子芸術の本領がある。
 母は昭和4年、外遊する前、「わが最終歌集」という本を出した。
「歌人岡本かの子」から脱皮して、創作の道に運命をうちひらいて