盆地の彼方山並み雪被る



 さみしいキリン雲の彼方に村が見え  穴井太 天籟雑唱

 雁の列山脈切れし彼方より  永田耕一郎 雪明

 夏来る回転寿司の彼方より  櫂未知子 蒙古斑以後

 空間は世界をつつむ忘却か一本の樹の彼方なる青  市原克敏

 彼方へと広がる大地青々と アロマ

 九頭竜河口の彼方落日桐の花  金子兜太

 弧を描く橋を彼方に夜釣の灯  小川濤美子(風花)

 坑道の彼方炎帝の小ささよ  有馬朗人 母国

 此方へ来彼方へ行くや洗ひ髪  山口誓子

 宵闇に彼方の灯りちらほらと アロマ

 菜の花や月の彼方に地球浮き  石井哲夫

 山の彼方の山が水の