夏の朝泰山木に蝉の殻



 鯖街道旅の土産にふぐの鰭  長野敏子

 笹鳴や鎌倉街道切通し  矢田邦子

 霧はがれゆく夏暁(なつあけ)の好摩駅  佐藤鬼房

 灯がひとつずつ澄み旅の夏暁  楠本憲吉 孤客

 夏暁に朝顔の露まろびつつ アロマ

 夏あかつき薄眼開け嬰児のなほ眠る  伊丹三樹彦

 夏の朝戸くるに親しき人通り  篠原温亭

 肌ふるゝ風新しき夏の朝  佐藤 佳津

  草原に風あと見ゆる夏の朝  太田柿葉

 段々に夏の夜明や人の皃  一茶

 夏暁の湯の灯にとほき船の旅  飯田龍太

 目覚めたることの淋しき夏暁かな  山田みづえ 草譜

 夏の朝泰山木に