柔らかにカナカナ鳴き出す夕間暮れ 



 人吉の灯恋ひ蜩降るばかり  能村登四郎

 夕刊一紙蜩と来て正に暮る  石塚友二 方寸虚実

 山荘の夕蜩に包まるる  稲畑汀子

 山裏の水をおしへて蜩鳴く  能村登四郎

 駐車場煩きまでに蝉時雨 アロマ

 奥三河中ひぐらしの鳴く時刻  百合山羽公 樂土

 手捕りたる伊吹ひぐらし鳴き咽ぶ  山口誓子

 換気扇よりひぐらしの甘き声  鷹羽狩行

 柔らかにカナカナ鳴き出す夕間暮れ  アロマ

 昼も鳴く梅雨ひぐらしや胡麻豆腐  水原秋櫻子 餘生

 暁の暗さ蜩鳴きはじむ  清崎敏郎

 蜩に砂浜痩せて出雲崎  上田五千石 森林

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