瞬き(またたき)

ゆらゆらゆれるおかっぱの緑髪
母の急の不在に、
少女の居場所は変わった。

白木の縁側から見る庭の青花鉢に
金魚が2匹、きらめく水面にすっと尾を引く。
そこは、ボンボン時計の針の音だけが聞こえる
祖父母の家。

祖父は、毎朝ポマードで豊かな銀髪を整え、
しゃんとして
ソフト帽とコートを着て学校に出かけてゆく。
祖母は真っ白の割烹着をきて、着物を縫っている。

味噌汁の大根の葉をつまらなく噛みながら
母の行方を聴けば、
桜の花が咲くころにかえって来るという。
どうやら、弟というものができるらしい。

小首をかしげてつぶやいてみても
そこには日の光と鶏の声し