99、「哀愁のパルテイータ」(五木寛之著)は60年安保世代の生きざま描く

「哀愁のパルテイーター南欧小説集」 五木寛之著 集英社文庫 1989年10月22日発行
ー 暗いはしけ
 「ポルトガルに来ようと言い出したのも、彼がファドを聞きたいと言い張ってきかなかったためだよ」
 遥かなるカミ二ト
 秋山がブエノスアイレスの飛行場に着いた時、
 アルゼンチンへ一人でやってくる
「なんだって、カミ二ト?」
「曲の名前だよ」
 彼はため息をついた。わからないことばかりだった。相手の不しだらな行為の結果を、どうして自分が引き受けなければならないのか?だが、そんな理屈とは関係なく、若い秋山の心は、目の前に涙ぐんでいる少女の力になれることなら