恋蛍

夕陽が落ちて空の色が藍色に変わる頃、
曲線を描くように黄緑の光が浮かび
上がっていく様は、感動的な美しい光景です。

夏の夜の刹那的な風物詩に心がたゆたふ。
昔も今も変わらないでしょう。

わが国には蛍になぞらえて、
せつない恋心を詠んだ歌がいくつかあります。

「物思へば沢の蛍も我が身よりあくがれ出づる
たまかとぞ見る」和泉式部

その意味は、「あなたを恋しく想っていると、
沢の蛍をまるで私の体から彷徨いでてきた
魂なんじゃないかな、と感じてしまいます」
のようになります。とても情熱的です

「明けたてば蝉のをりはへ泣きくらし
夜は蛍の燃えこそわたれ」