妄想爺やの徘徊日記16
爺やの部屋の本棚には、小学校、中学校、高校、大学の卒業アルバムが並んで立てられている
見ることのないアルバムのページの背の上には、その期間の長さに、地層のように埃が堆積をしている
彼の学生時代には華々しい記憶はないようだ
アルバムには、集合写真のその他大勢組の小さな一人としてしか載っていない
輝かしい、クラブ活動や学校行事に躍動をした大きな写真の彼らとは違う爺やだった
社会人になってからも、無かったことにしている1枚の写真が、彼の部屋の机の1番下の引き出しの今では開くこともない古い書類のファイルの下に、置きっぱなしにな
連載:妄想爺やの徘徊日記