あけび庵の日記

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あけび庵の日記
草かぶれ夏の雲立つ一人かな
庭荒れて我が世の風と夏の草
顔のかぜ風鈴のねの心地かな
芦原の縄張り飛ぶや蝶蜻蛉
心うく庭のくれない石榴の実
蜻蛉の目夢か現か泣くまいぞ
思い出も妻の手のなか蝉の殻
電線に小鳥はぐれて残暑かな
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動かざるその蝉の腹ただ哀れ*
検診や初蝉さわぐ両の耳*
蝉風は骸寄せたる土の上
庭の木のやがて紅さす石榴の実
白雲の立つや干場の梅雨の明け*
妻の手や蝉はもぬけの殻の外*
雲立つや一丁締めて蚊に一打
蝉の風骸寄せるは土の上*
手枕や燕去月いま何処 (つばめさりづき)
夢うつつ悲しからずや蜻蛉の目