連載:№55 鳥刺という仕事

ほっと氏の野鳥の話題55

ほっと氏の野鳥の話題 №55 2008年1月

鳥刺(とりさし)という仕事

 おどろいたのは大正時代にもまだ鳥刺がいたという事実だった。まさかそんな最近までいるとは思わなかった。『トリキチ一代記』(川田潤 理論社 1986年)によると、著者は1907年、明治40年生まれ、前後の文面から察するに、著者がまだ10歳にならない程度のころ、大正5年前後の体験をつぎのように記している。

 セミやトンボを追い廻すのは専ら私たち子どもだけの遊びとばかり思っていたところ、ある日学校の帰り途に街の中で、大の大人が長い太めのモチ棹をかついでうろついているのに出会った。し