第四章 友情
詩織の手元にある羊皮紙には、この楽器を作った経緯が細かい字でビッシリ綴られていたのだ。
あのお宝探偵団の収録が終わった後、コピーされた文書は全部焼却され、一部の関係者のみに語り継がれる事になった。
詩織にはアンナの心情は痛い程理解出来た。
まさかとは思うが、大沢麗子はストラディバリで自分と争ったために、呪われてあんな惨めな目に遭ったのかもしれない。
もしそうだとすれば何とも気の毒な事だ。
詩織は好敵手としての大沢麗子を失いたくなかった。
(何とかして友情を築きたい)
その機会は案外早くやって来た。
恒例の