連載:妖器

妖器 第3回

第四章 友情

 詩織の手元にある羊皮紙には、この楽器を作った経緯が細かい字でビッシリ綴られていたのだ。

 あのお宝探偵団の収録が終わった後、コピーされた文書は全部焼却され、一部の関係者のみに語り継がれる事になった。

 詩織にはアンナの心情は痛い程理解出来た。

 まさかとは思うが、大沢麗子はストラディバリで自分と争ったために、呪われてあんな惨めな目に遭ったのかもしれない。

 もしそうだとすれば何とも気の毒な事だ。

 詩織は好敵手としての大沢麗子を失いたくなかった。

 (何とかして友情を築きたい)

 その機会は案外早くやって来た。

 恒例の