連載:妖器

妖器 第4回 (最終回)

 第六章 ジェノヴァへ

 帰国した二人は報告の為に柳沼弦一郎を訪ねた。
  居間に通された二人は遠藤園子の手紙を差し出した。

「先生に宜しくと言ってました」
「そうか。悪かったな。先に紹介しとけばよかった」

 柳沼はざっと目を通した。

「思った通りだ。実質一位と二位だったんだね。君たちの腕ならこうなると信じてはいたが、兎に角おめでとう。次はパガニーニの国際コンクールだ。これはクレモナよりはるかに強豪が集まる。そのつもりでね」

 パガニーニ国際ヴァイオリンコンクールは、パガニーニの生誕地ジェノヴァで数年に一回開催される。
 
 今回は丁度その翌年