連載:読書感想文

129、「藻屑蟹」(赤松利市著)は東日本大震災の人々の生きざま描く

『藻屑蟹』 赤松利市著 徳間文庫
2019年3月15日発行
ーこの小説は、「ラジオ深夜便」9月号のプレゼント募集に応募して当たり入手した。折角頂いたので、至急に読了した。前半は、ドラマ仕立てのような感じで読んでいたが、このようなことが実際にありうるのだと感じ、後半は、実際の純文学的なリアリテイを感じた。とにかく、東日本大震災の実態に迫っている小説だと思った。
ーフクシマ・フィフテイー。
 事故直後の福島第一原発を、命さえ顧みずに守った、消防士や作業員たちに贈られた称号だ。
「危険手当とか、だいぶんもらったんじゃないか」
 原発事故から6年経った今だからこ