連載:旅1

「観光バスが停まっている」:鬼怒川温泉①

3メートルはある高いガラス窓一杯に山が広がる。木々は緑から黄色、赤と微妙なグラデーションだ。那須岳の真っ赤な紅葉が鮮明に残っているので、こうした普通に紅葉を始めていく様も好もしい。

右手には大きなホテルが見える。今までの経験から廃墟を予想していたが、昨夜歩いた時にはホテルにはほぼ灯りが点き、全館灯りが付いた建物からは賑わいすら感じた。

夕食後、散歩に出た。間違っても浴衣姿では行けない。寒すぎる。鬼怒川に架かる橋には数人観光客がいる。

ところどころに空き地や真っ暗な建物がある。さすがに暗いホテルを見る勇気はない。いつもよりナイーブになっているのは訳が