連載:心の歌

僕は雨を知らない

あの町に大きな爪痕を残した雨も
僕の街ではアスファルトを濡らす水
やがて雲も去り君はまた布団を干す
ぶり返す暑さにもう少し降ってもいいとつぶやく

あの町では多くの人が銃弾に倒れた
僕の街では老人が転んだと救急車が走る
やがて時は去り人は平和の重さを忘れてしまう
神は人をより分けるために地上に炎を降らす

僕は雨粒の一つ一つを知らない
その濡れた世界だけを見る
一つの雨粒がどうなったかなど分からない
それは僕がこの世を去る事と多分同じだ

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