エッセイ「猫のしっぽ」

9月の文章教室で「偶然の一致」の課題について発表した作品です。原作は縦書きで、横書き書式に改めました。


  ***「猫のしっぽ」***  cz-359


 兄弟は多かったが私は末っ子で、親父からは猫のしっぽと呼ばれていた。
可愛らしいという意味かと思ったら、あっても無くても良いのだそうだ。親父が40歳代の子供で、確かにあっても無くてもよかろう。

 戦死した兄もいて、現在は遺族年金の恩恵に浴しているが、ほとんど記憶にはない。
20歳前後で大柄の兄弟4人が、正月などで親父のものに集まると、威風堂々の感があった。

 兄弟喧嘩にも自然と派閥が出来て、長