二律背反論 ~渾沌と妄想の果て~

創造する者、知恵を授ける者、希望を与える者、導く者。
総じて「生」を司る者。
或いは、この世界の森羅万象を司る者。

誰かがそれを神と称えた。
それが、そもそもの始まりだった。

しかし、森羅万象には生もあれば死もある。

その全てを神の尊として広めるには
許されざる矛盾が生じていたのである。

そこで彼らは一計を案じた。

つまり、神には対を成す存在が必要なのだと。

破壊する者、災禍をもたらす者、貶める者、闇に誘う者、
つまりは「死」を招く者として。

それを彼らは悪魔と名付けた。

悪魔から人間を救うのは唯一、それが神であるとして。



光があれ