新幹線の駅にて買う豆子郎



 まだ熱きういろうを買ふ紅葉寺  吉川敦子

 どら焼は大きく甘く聖母月  辻桃子

 月餅は中村屋よりけふの月  山口青邨

 牡丹雪ぼくもあなたもかりんとう  坪内稔典

 若葉雨徒然に舐る花林糖  角川源義

 秋近き灯の艶蕎麦の実かりんとう  高澤良一 素抱

 東京に雪のふる日の花林糖  鳥居真里子

 焼芋屋出てゐる夜の神田駅  関口謙太

 焼芋屋知り尽したる路地廻る  藤巻朋子

 焼芋屋通りて闇を深くしぬ  樋笠文

 町並のどかにありぬ焼芋屋  高浜年尾

 焼芋や月の叡山如意ケ岳  日野草城

 焼芋の最も似合う新聞紙  野村洋