雪の日にマドレーヌ焼く午後三時



 しばしまて僕焼芋を買はんとす  寺田寅彦

 焚口に杉の葉燻べ焼芋屋  藤木倶子

 綿菓子の糸の先まで小春巻く  高井敏江

 綿菓子の棒のまわりの乱気流  森田智子

 綿菓子のほそりて帰る初不動  井口詞音子

 えんぶりの綿菓子売に飛び附く雪  草間時彦 中年

 夕虹を吸ひし綿菓子売られゆく  谷口桂子

 ガム噛みて孤りを深む冬木立  上野澄江

 短日や影も角出す金米糖  野見山朱鳥 愁絶

 雪来るか加賀落雁の舌ざはり  小松崎爽青

 花に降りぼた餅にふるや雪の暮  馬場存義

 雪の日にマドレーヌ焼く午後三時  アロマ

 油ぬ