勇樹の自転車は体育館におかれたまま
二人は濃紺の光るクラウンで
藤川邸に向かった...
玄関前でおりた勇樹を
栗毛色の中型犬ナターシャが
ほえることもなく
不思議そうな顔で首をかしげている
「お~ナターシャ!
元気だったんだね...」
頭をなでられた瞬間
ナターシャははっとしたように
覚醒し、尻尾を激しく振り始めた
車庫からもどってきた由梨子は
微笑みながらいった
「お利口さん、ナターシャ
先生のこと覚えていたのねぇ…」
「4年もたっているのに
僕のこと忘れないでいてくれるなんて...
うれしいなあ...」
興奮と感激で勇樹の声は
ふる