連載:網野善彦『日本の歴史をよみなおす』を読み直す その2 「この桶自体が神聖な桶でした」 ―なぜ桶が神聖なのか―

網野善彦『日本の歴史をよみなおす』を読み直す その2 「この桶自体が神聖な桶でした」 ―なぜ桶が神聖なのか―

網野善彦『日本の歴史をよみなおす』を読み直す
その2
「この桶自体が神聖な桶でした」
―なぜ桶が神聖なのか―

 日本の民俗では、桶が神聖とされています。そして歴史学でも網野善彦が、桶は神聖であるとしています。網野のその部分を『日本の歴史をよみなおす』p63から引用します。

あるいは魚売りの神人(じにん)は、神様に捧げる供(く)菜(さい)である魚を入れた桶を頭にいただいているのですが、この桶自体が神聖な桶でした。

歴史の桶
 今回はなぜ桶が神聖なのか、桶の神聖性は何に由来するのかについて私の考えを述べてみます。
 網野は、桶が神聖である理由は特に述べ