霜の朝緩やかに明け皆元気



 霜けむり身にあたたかく落葉ふむ  瀧春一

 霜日和巣箱の穴のよく見えて  代田幸子

 グラビアは真珠に霜の溶けかかり  アロマ

 ワイパーで水霜拭きて飛騨を発つ  宮川典夫

 霜晴や屋根のはざまに小さき富士  早崎泰江

 霜しづく樋に七いろきらめける  長崎桂子

 霜の朝コーヒーカップてのひらに  赤座典子

 窯の炎や霜の松葉も掻き入るる  瀧春一

 霜近き林中の沼靄を吐く  有働亨

 暁の窓深閑と霜匂ふ  須藤トモ子

 野火止の畑一面を霜おほふ  井上幸子

 星たちの置きみやげとも霜の花  中川アキ子