風花の野に赤い一両列車



 森出づるより風花の西行忌  杉山岳陽

 朝焼の片雲風花こぼしつつ  岡田日郎

 木曾谷へ月の風花あつまるや  羽部洞然

 村の空澄み切ってゐて風花す  斉藤友栄

 封筒のなか明るくて風花す  辻田克巳

 風花の揺らめくごとく舞い踊る  アロマ

 地球には笑窪があつて風花す  大下真利子

 泣く声に似て風花の煙突  飴山實 少長集

 浅間見えぬ町いくたびも風花す  松村蒼石 雁

 掻き曇り風花白く鬩ぎ来る  アロマ

 山繭に風花あそぶ夕日かな  荒井正隆

 スープ皿買ひ風花の街戻る  山田弘子

 タクシーに乗りこむ髪に風花が