春を待つ色鮮やかな庭想い



 年々に春待つこゝろこまやかに  下田実花

 待春のふくれ崩るゝ波頭  星野椿

 春一番二月四日に吹いており  アロマ

 待春の大樹の風を孕みたる  上野 泰

 待春の身の透く小鯛笹漬けに  田中英子

 待春の金の成る木に花が咲く  伊藤いと子

 仮縫のあとこころもち春を待つ  朝倉和江

 春を待つ鳥居の前の茶店かな  比叡 野村泊月

 春を待つ芽吹き加減の桜かな  アロマ

 真つ白き障子の中に春を待つ  松本たかし

 春を待つ絵手紙に黄を重ねつつ  板橋美智代

 春を待つ花の歳時記開きては  岩崎富久子

 林檎の木いまだ幼く