里帰り目刺し豊漁郷里にて



 鬼百合の溶岩に咲きたり海女の島  土川照恵

 龍宮へ入りゆく海女か肌透けて  品川鈴子

 秋茄子の太り過ぎたる海女の畑  一瀬昭子

 いまもなほ海女小屋ありてさつき咲く  長沼紫紅

 底潮の濁りはげしと土用海女  博多永楽
 
 流れ昆布拾ひてしばし磯遊び  桑垣信子

 磯遊び乾くに間ある歌枕  深澤鱶

 八重潮のふくらんでくる磯遊  和田照海

 石の浜貝殻探して磯遊び  アロマ

 磯遊び足裏に魚の潜り来る  秋千晴

 妻の留守ゆつくりと覚め目刺焼く  皆川盤水

 春愁や黙して目刺し頭から  保坂加津夫