春めいて仄か闇夜の温かさ



 伊予柑の香りの中の島泊  黒滝志麻子

 伊予柑の皮を浮べて午後の風呂  小黒加支

 春めくやチョークのメニュー店先に  榊山智恵

 釣り糸を切る大鯉や春めいて  尾崎千代一

 手につつむ益子の湯呑春めきぬ  小島良子

 一日は春めく島の旅となる  稲畑汀子

 上京や春めく心携へて  稲畑汀子

 春めくや雲ゆつくりと流れをり  山田佳子

 春めくや幹から枝へ栗鼠の影  濱野新

 春めきていつか健康取り戻す  稲畑汀子
 
 春めくや杉山いよよ褐色に  朝妻力
 
 集ふことより春めいてゆく心  稲畑汀子