春めくや吾子泣き出せば月見せて



 
 春めくと思ふ夜来の雨あがり  宮本俊子

 尉鶲春めく風と遊びをり  木村迫子

 春めいて辺りの空気虹色に  アロマ
 
 深山なる鉈の木霊も春めけり  竹内喜代子
 
 画展出て春めく心野に放つ  中村芳子 円虹

 雨止んでほのと春めく夕べかな  稲畑汀子

 春めくやことに銀座の宵の口  鷹羽狩行

 春めきて午報元気に鳴り響く  泉田秋硯

 春めくや海と空とが溶け合ひて  呉屋菜々

 石段を上る靴音春めけり  吉清和代

 春めけばバッグの口金鳴り響く  アロマ

 ホップの実の小さきふくらみ春めいて  高柳正幸