瑠璃の雉厨窓から二匹見る



   「アロマ」の句


 さくら散る兵舎の址の煉瓦門

 鶯の長閑に響く朝の部屋

 瑠璃の雉厨窓から二匹見る

 沿道の枝垂桜は紫に

 蹲の桜花びら薄紅よ

 春雨の柔らかな音聞いている

 花冷えの境内桜色冴えて

 白と黄の蒲公英咲いて駅ホーム

 春の雪大根飯炊いており

 四月に降る雪教科書を濡らす

 弥生末大雪降って吾子遊ぶ


    「河東碧梧桐」の句


 桃さくや湖水のへりの十箇村

 苗代と共にそだつる蛍かな

 門を出て五六歩ありく春の風

 春風の吹いて居るなり飴細工

 旅にして昼餉の酒や桃の花

 曲すみし笛の余音