37、『日本人の叡智』(磯田道史著)は、無名の賢人がこの国に息づいていた、という

『日本人の叡智』 磯田道史著 新潮新書
2011年4月20日発行
ーはじめに
 20年、毎日のように、このような暮らしをしていて、感じたことがある。人は、かならず死ぬ。しかし、言葉を遺すことはできる。人間が物事を真摯に思索し、それを言葉に遺してさえいれば、それは後世の人々に伝わって、それが叡智となる。この叡智のつみかさなりが、その国に生きる人々の心を潤していくのではないか。
 書庫のなかに埋もれているそんなきらめくような言葉と叡智を拾いあつめて歩き、記録してみてはどうだろうか。後世に残してみてはどうだろうか、と考えた。
「この人、その言葉」ができていった