「種田山頭火の句」


あるけばあるくほど日がしずむ

あるけばかつこういそげばかつこう

へうへうとして水を味ふ

一羽来て啼かない鳥である

うしろすがたのしぐれてゆくか

どうしようもない私が歩いている

生まれた家はあとかたもないほうたる

音はしぐれか

ゆうぜんとしてほろ酔へば雑草そよぐ

酔うてこほろぎと寝ていたよ

鴉啼いてわたしも一人

笠にとんぼをとまらせてあるく

笠も漏り出したか

けふもいちにち風を歩いてきた

この旅、果もない旅のつくつくぼうし

こころすなほに御飯がふいた

鈴をふりふりお四国の土になるべく

霧島は霧にかくれて赤とんぼ

また一