みんな夢の中

(日本経済新聞「文化」・・作家・久間十義「みんな夢の中」’21年4/17 朝刊より )

米SF映画「マトリックス」(1999年、原題「The Matrix」)のトーマス(主人公)は、米大手のソフト会社でプログラマーという”表の顔”を持っているが実は、(コンピュータ犯罪をも犯す)”天才ハッカー”「ネオ」という”裏の顔”も併せ持っていた。

ある日彼は、「今自分が暮らしているこの世界、ひょっとしたら”夢”なのではないか ? 」という疑念を抱いた。そしてある日「起きろ、ネオ」、「マトリックスが見ている」、「白ウサギに付いて行け」という謎のメールを受け取り、