リラ戦ぐ夜風に香り一段と



 遠くから風の足音リラの花  土岐明子

 散策の道変へてみるリラの風  細江久美子

 リラ冷や聖堂までの甃  関森勝夫

 リラ咲けば北京は夏の姿なる  原田青児

 リラ匂ふギヤマン窓の旧校舎  仙田洋子 雲は王冠

 リラ濡れて白夜の町の波のこゑ  石原舟月

 リラ戦ぐ夜風に香り一段と アロマ

 珈琲啜るウィーンは遠しライラック  今泉貞鳳

 万緑のなか虹鱒の渦をなす  大串章

 宵の空いよいよ蒼き初鰹  鷹羽狩行

 峰打ちをくれ初鰹捌かるる  田中蘆風

 磨かれしごとくに市の初鰹  天岡宇津彦

 土佐の旅近づきて来