八重桜 綿あめの薄紅に似て


 
 小綬鶏の兄さんが呼ぶ八重桜  桐木榮子

 時計台すつぽり隠す八重桜  横林誠二
 
 しんがりに咲くが身上八重桜  横山昌子
 
 どの枝となく乗り出して八重桜  斎藤棹歌

 八重桜染井吉野と斜に咲く アロマ
 
 むつつりと眠そう昼の八重桜  水野恒彦
 
 風止めば散ることも止み八重桜  嶋田摩耶子
 
 艶やかで重たき色の八重桜  山下美典

 八重桜 綿あめの薄紅に似て  アロマ
 
 しあはせの二乗三乗八重桜  荒井慈

 切能の闇ふかめたり花篝  檜山孝子

 身の内の鬼と共存花篝  津田このみ

 星の座の遠