連載:読書感想文

49、『つるかめ助産院』(小川糸著)は孤児であった小野寺まりあが男の子を産む物語なり

『つるかめ助産院』 小川糸著 集英社文庫
2012年6月30日発行
ー最近知った作家、小川糸の、僕が2冊目に読んだ小説である。彼女の初めて読んだ小説は、『食堂かたつむり』であった。この、1冊目は女性料理人の話。2冊目の小説は、妊娠し出産した女性の話である。この主人公、小野寺まりあの生きざまも感動の生き方であった。
ーあれは私達の婚前旅行だった。小野寺君が行ってみたいというので、私も一緒について来た。

「もしかして、さすらいを探しに来た人?」
 私を見上げる女の人がいる。
「『パーラーさすらい』っていうラーメン屋を探しにきた人かと思ったのよ。さすらいはど