さんが書いた連載読書感想文の日記一覧

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51、『歩いて行く二人』(岸恵子 吉永小百合)は素晴らしい日本女性・女優が生き様、語り合う

『歩いて行く二人 岸恵子 吉永小百合』 岸恵子・吉永小百合著 世界文化社 2014年7月15日発行 ーこの本は、偶然、ブックオフの200円コーナーで見つけた。偶然、親友から吉永小百合の「青い山脈」の石坂洋次郎への思い、というメールが来ていたりして、吉永小百合関係の本なら読んでみようかと思って買って読んだ。面白かった。岸恵子も興味を惹かれた。吉永小百合も良さに共感した。 ー岸 若さが成した、ステキ…

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50、『漱石と十弟子』(津田青楓著)は青楓と先生・漱石との交流描く

『漱石と十弟子』 津田青楓著 芸艸堂 昭和49年7月20日発行 ーこの本は、近くにある、「青楓美術館」で購入した。かなり前のことで、一度読んだけれど、今、再読して、こんなにも細かく書かれていたのはと感動して読んだ。その時のメモ。 ーこの本は、一宮町(笛吹市)上矢作にある「青楓美術館」で買ったものである。買った、その日に越賀初枝さんに貸し、返してもらい、今、やっと読み切った。津田青楓という人間をお…

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49、『つるかめ助産院』(小川糸著)は孤児であった小野寺まりあが男の子を産む物語なり

『つるかめ助産院』 小川糸著 集英社文庫 2012年6月30日発行 ー最近知った作家、小川糸の、僕が2冊目に読んだ小説である。彼女の初めて読んだ小説は、『食堂かたつむり』であった。この、1冊目は女性料理人の話。2冊目の小説は、妊娠し出産した女性の話である。この主人公、小野寺まりあの生きざまも感動の生き方であった。 ーあれは私達の婚前旅行だった。小野寺君が行ってみたいというので、私も一緒について来…

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39、『江戸の備忘録』(磯田道史著)は、この国の歴史全体を見渡すのに、ちょうどいい視界を、確保できるような史実や人物や逸話を取り上げた、と

『江戸の備忘録』 磯田道史著 文春文庫 2013年11月10日発行 ー私は史書を読んできた。いまでも書庫蔵に棲みついている。書庫の中は暗く、コンクリートの床は冷たい。その床に坐り込んで、古記録の頁を、ゆっくりめくる。ただ読んでみたかっただけ、というような読書である。と、磯田さんは自らの読書、歴史の調査研究を楽しんでいる。  さらに、「私はこういう書物蔵のなかの時間が好きで、一生、史書を読んで暮ら…

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35、『青年』(森鴎外著)は自然主義文学時代の文学希望の青年の生きざま描く

『青年』 森鴎外著 新潮文庫  昭和23年12月15日発行 ー小泉純一。 自分の捜す大石けん太郎という名。 色川国士。 鴎村。 瀬戸速人とはY市の中学で同級にいた。 大石路花。 「大石路花か。なんでもひどく無愛想な奴だということだ。やっぱり君は小説家志願でいるのだね」 「どうなるか知れはしないよ」 「君が東京へ出てから中学へ来た田中という先生があるのだ。その先生が大石と同窓だもんだから、紹介状を…

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28、『山本五十六(下)』(阿川弘之著)は米国と戦争するな、しても1年で止めよと

『山本五十六(下)』 阿川弘之著 新潮文庫 昭和48年2月27日発行 ー昭和16年秋までにもし山本の中央復帰が実現していたら、12月の開戦は、少なくとも先へ延ばされ、山本が腰抜けとか新英米とか言われて時を稼いでいるうちに、ドイツの頽勢がはっきりして来、日本は世界動乱に処して、おそらくもっと有利な道をたどり得ただろうと言っている。  反戦的な、自由主義的な考え方の教授グループで、これは海軍が官房調…

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27、『オーダーメイド殺人クラブ』(辻村深月著)は現代若者の心を描く

『オーダーメイド殺人クラブ』 辻村深月著 集英社 2011年5月30日発行 ーこの小説こそ、辻村深月の代表作だと僕は思う。現代の若者の心理を見事にリアルに描き出している。一度読んで、そう思ったが、もう一度読んで、若者の」心を描いていることをもっと強く感じた。 ー「ねえ、アン。お母さん、本当は少し前から注意しようと思ってたんだけど、新聞、切り抜いてどうするの?」 「アンちゃん、人が死ぬような、気持…

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26、『山本五十六(上)』(阿川弘之著)は連合艦隊司令長官として真珠湾攻撃を行った山本五十六の実像を描く

『山本五十六(上)』 阿川弘之著 新潮文庫 昭和48年2月27日発行 ーこの本は、阿川佐和子著「強父論」を読んだとき、父である阿川弘之氏が、自分の作品では、この「山本五十六」が一番印象に残っている、と言っていたと話していたので、是非読んでみようと思った。ブックオフで、(下)は入手できたが、(上)は見つからないので、(上)が見つかるまでそのままに(下)は保管していた。それが、最近、偶然(上(が見つ…

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22、『「司馬遼太郎」で学ぶ日本史』(磯田道史著)は後世をよくしたい、それに少しでも力を添えたいと

『「司馬遼太郎」で学ぶ日本史』 磯田道史著 NHK出版新書517 2017年5月10日発行 ー「文芸春秋3月号で半藤一利追悼で、保阪正康さんと共に磯田道史さんが追悼文を書いているので、磯田さんの本を読んでみようと思い、この本を読んだ。感動した!日本人の長所、短所を指摘し、「自己の確立」が大事である。「たのもしい人格を持たねばならない」と言い、国家が命令を下してみんなが「1億玉砕」を叫んで戦争に行…

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21、『老いの矜持 潔く美しく生きる』(中野孝次著)は、文明の利器なしに暮らせなくなったら、自然のいきものとしての人間は終わりだ、と

『老いの矜持』 中野孝次著 青春新書  2011年8月15日発行 ー幸福と言う目に見えぬものについても、そのさまざまの度合いをはかるのは、もっぱら心というこれまた目に見えぬ尺度である。『清貧の思想』以来、「現代において幸福とは何か、どのようにしたら幸福を獲得できるか」を考え直してみたい。  秩序と規律の尊重あっての自由であること。  我慢と言うことのできない子供たちが増えてしまった。  吉野せい…

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20、『堕落論』(坂口安吾著)には、太宰治、檀一雄、田中英光とのことも記す

『堕落論』 坂口安吾著 集英社文庫  1990年11月25日発行 ー昭和史で日本の昭和の敗戦のことを究明した半藤一利さんが、坂口安吾に影響受けたというので、安吾の代表作である『堕落論』を読もうと思い読了した。確かに、思い切った文学、人間を見る眼が厳しく深いと思った。 ー天皇制の存立の政治的理由は政治家たちの嗅覚によるもので、彼らは日本人の性癖を洞察し、その性癖の中に天皇制を発見していた。  私自…

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19、『人を育てよ 日本を救う、唯一の処方箋』(丹羽宇一郎著)は私の遺言のような形で完成した、と

『人を育てよ 日本を救う、唯一の処方箋』 (丹羽宇一郎著) 朝日新書 2015年9月30日発行 ー心は一向に進歩していません。何千年経っても戦争はなくんらず、自分の欲望を制御できない人が、世界中に溢れています。進歩の跡は残念ながら、全く見られないのが現実です。  心は1代、1代で消えてしまうものであり、心の教育の万能薬もありません。  人間は、自分で自分をコントロールする力があるからこそ、人間な…

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18、「半藤さんが私たちに残した『宿題』」(保阪正康作)は、実証的に歴史を見る、その道筋を歩いて行こうと

「さようなら、半藤一利さん 半藤さんが私たちに残した「宿題」」 保阪正康作 「文芸春秋」令和3年3月号所収 ー半藤さんは、「成績不良だが、大化けするかもしれない者」として、採用されたという。  半藤さんは「安吾さんから実証的に歴史を見ることの大切さを教えられた」と話していた。  「大海軍記者」と呼ばれた伊藤正徳の担当にもなった。元軍人ら戦争体験者に取材を重ね、それが昭和史研究の道に入るきっかけの…

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14、『古代史で楽しむ万葉集』(中西進著)は、半数2000余首が作者の分からない歌であると

『古代史で楽しむ万葉集』 中西進著 角川ソフィア文庫 平成22年4月25日発行 ー中西進さんは、「人生に交友は大事ですね。私の1番の親友は、今月亡くなった作家の半藤一利さんでした。東京大国文科の同級生です。明るくて人柄がよくて、知識があってもひけらかさない」を朝日新聞で読んで、中西進さんの本を読んんでみようと思いました。一応目を通しましたが、最期で、書こうとしていることが、やっとわかって、それま…

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13、『抜粋のつづり その80』は「生活習慣」プラス「早期発見」の2段構えが、がんで命を落とさないための秘訣だと

『抜粋のつづり その80』 クマヒラ・ホールデイングス 令和3年1月29日発行 ーこのエッセイ雑誌は、毎年送っていただいている至極のエッセイ集です。今回は特に読み応えがありました。人生を生きるに大いに参考になりました。 ー命は誰のもの  本庄巌  その命は本人のものというより、この生を願う人、具体的にはご夫人のものであることに気付く。意識がなくとも夫の命が今日も明日もこの世にあることが大切なので…

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11、『御勅使川』(小田切常雄著)は江戸時代の尚武と桔梗の恋を巡る物語なり

『御勅使川』 小田切常雄著 銀河書籍  2020年1月12日発行 ーこの本は、山梨県立文学館読書会の仲間の小田切常雄さんが、自費出版した、歴史小説である。初めて出した『新聞 忠臣蔵 逕直と内蔵助』が、日本自費出版文化賞入選以来の、2作目である。初出版も評価されたが、この歴史小説は、江戸時代の幕府の甲府勤番支配の中を生きた武士や甲府盆地に住む人々の暮らしが、それぞれの個性豊かな登場人物の様子などが…

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9、『ふちなしのかがみ』(辻村深月著)は、僕にはよく分からない

『ふちなしのかがみ』 辻村深月著 角川文庫 平成24年6月25日発行 ー辻村さんの小説は、以前、僕は、若い現代人の心理を見事に描いている、と感動して読んだことがあるが、この短編集は、何とも感心しない。リアルさが、僕の身に感じられないのである。最近では、『朝が来る』には感動したが。そして、他の長編小説で、高校生か、中学生かの交流する様子が、現代風に、描かれていて興味深く読んだこともある。だけど、こ…

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8、『詩集 川沿いの道を』(笠井忠文著)は傘寿の男の想いなり

『詩集 川沿いの道を』 笠井忠文著 乾季詩社 2011年12月19日発行 ー笠井忠文さんは、地元山梨県の医者で詩人であり、先日の地元の新聞の「私も言いたい」欄に、笠井さんの親戚で文芸の友人でもある、僕の文芸の知人の方が、追悼文を投稿したのを読んで、笠井さんの亡くなったのを知りました。それで以前、笠井さんから頂いた、この詩集を再読したので、その感想を投稿しようと思いました。1928年甲府市生まれ、…

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7、『至高の音楽 クラシック「永遠の名曲」の愉しみ方』(百田尚樹著)は小説を書きながら聴いていると

『至高の音楽 クラシック「永遠の名曲」の愉しみ方』 百田尚樹著 PHP新書 2016年1月5日発行 ーこの本は、百田尚樹さんの本でも小説でないから、今までで読まなかったが、最近、ハードオフなどのジャンクCDで、クラシックの音楽CDを買ったりしたので、クラシック音楽に興味を感じて読んでみた。ベートーヴェンやシューベルト、バッハ、モーツアルトなどが、どんなに素晴らしい事をしたのか、ということが、百田…

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5、『雪』(中谷宇吉郎著)は日本で観測される雪の結晶は複雑である、と

『雪』 中谷宇吉郎著 岩波文庫 1994年10月17日発行 ーこの本は、記録的豪雪に見回れた北陸、東北などの雪国のことを思い、雪というものに興味を感じて読んだ。読了するのに手間取ったが、何とか全部に目を通した。参考になった。 ー鈴木牧之が天保年間に著した『北越雪譜』。  冬期北半球では西北の風が吹く。特にこの傾向は上層では強いのであって、随って、シベリアからの冷たい風が日本へ向かって吹いて来るの…