尽くす女

 義姉が、5月7日97歳の生涯を閉じた。
大往生である。

 夫の姉である彼女は長らく徳島県のケアハウスに住み
最期はその系列病院で、誰にも看取られることもなく
ひっそりと旅立った。

 彼女は若い頃から才色兼備の女性であり、女学校を
卒業後はシオノギ製薬会社で定年まで働いた

 趣味は、音楽・文学・絵画と多彩な才能があり、
華ある人生を送れるものと思われていた。
 しかしながら、人生というものは計算し尽された
予定調和で成り立つものではない。

 ひとりの男性との出会いが、その後の彼女の人生の
歯車を大きく狂わせた。

 昭和のいわゆる戦中派の女性の恋