連載:介護

「いらない人ね」

美容院に行った。予約は出来ない店なので普段は行列の出来ている店だが、雨だから空いているだろうと思った。

誰もいなかった。代わりにママがいた。私はいつもの男性美容師にやってもらったが、白髪染めを塗った後の待ち時間にママはオモムロに現れた。

とにかく接客の神様みたいな女性で、私と男性美容師が話していた事をよく聞いていたのだろう、絶対に私に不快感を与えない内容で喋る喋る。こうなるともう聴くしかない。

ママは80代だが、背筋真っ直ぐ化粧バッチリ笑顔は絶やさない。かなりの贅沢もしたが貧乏暮らしもしたという、波乱万丈を絵に描いたような人生を送ったラシイ。

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