奥能登の空港雨の気配なく



 梅雨の月やがて小雨をこぼしけり  高屋窓秋

 人恋へば野は霧雨の赤まんま  三橋鷹女

 霧雨を登り来しことねぎらはれ  古賀青霜子

 霧雨を来て八木節を唄ふのか  三橋鷹女

 焼烏賊を食ふ霧雨に濡れながら  清崎敏郎

 霧雨にゆるり傘差し橋の上 アロマ

 豌豆の咲く土ぬくく小雨やむ  飯田蛇笏

 冬鹿の小雨のやうな咀嚼音  小澤克己

 日は照れど小雨は降れど目刺干す  阿波野青畝

 唐衣小雨に濡るる薪能  佐土井智津子

 福寿草小雨にぬるる年の市  山口青邨

 明け方に小雨ありたる貝割菜  村上杏史

 鼬鳴く庭の小雨や暮の春